CodeIgniter ユーザガイド 日本語版 Version 2.0.3


トランザクション

CodeIgniter の抽象データベースでは、トランザクションセーフなテーブルタイプ [ 訳注: テーブルの管理方式がトランザクションをサポートするものという意味 ] をサポートしているデータベースで トランザクション を利用することができます。 MySQL では、より一般的な MyISAM ではなく InnoDB か BDB のテーブルタイプで実行されている必要があります。他のほとんどのデータベースでは、トランザクションはネイティブにサポートされています。

トランザクションについてあまり知らない場合は、 利用中のデータベースのトランザクションについて学習するために、 良いオンラインリソースを探すことをおすすめします。

CodeIgniter のトランザクションに対するアプローチ

CodeIgniter のトランザクションに対するアプローチでは、ポピュラーなデータベースクラスである ADODB で使われている手順と大変よく似たものが採用されています。 トランザクションの実行プロセスが非常に単純になるので、このアプローチを採用しています。ほとんどの場合、それは2行のコードが必要になるだけです。

従来は、クエリを絶えず追跡し、クエリの成否にもとづいて、コミット するか ロールバック するかを決めなければならないため、 トランザクションの実装には多くの作業を必要としてきました。 これは、入れ子になったクエリでは特に邪魔になります。 対照的に、私たちは自動的にそれら全部を実行するスマートなトランザクションシステムを実装しました (実際のところ利点はないですが、やりたければ手動でトランザクションを管理することもできます)。

トランザクションの実行

トランザクションを使ってクエリを実行するには、次のように $this->db->trans_start() メソッドと $this->db->trans_complete() メソッドを使います:

$this->db->trans_start();
$this->db->query('SQL クエリ...');
$this->db->query('もう一つのクエリ...');
$this->db->query('さらにもう一つのクエリ...');
$this->db->trans_complete();

start メソッドと complete メソッドの間に、どれだけ多くのクエリを実行しても構いません。 各クエリの成否により、それら全体がコミットまたはロールバックされます。

厳密な(Strict)モード

デフォルトでは CodeIgniter はすべてのトランザクションを Strict モードで実行します。 Strict モードが有効な場合、複数のトランザクションのグループを実行している場合、ひとつのグループの実行が失敗すると他のすべてのグループのトランザクションもロールバックされます。 Strict モードが無効の場合、各グループは独立したものとして扱われ、ひとつのグループのトランザクションが失敗しても他のグループに影響を与えません。

Strict モードは以下のようにして無効にします:

$this->db->trans_strict(FALSE);

エラーの管理

コミットが失敗した場合に、標準のエラーメッセージを見たい場合は、config/database.php ファイルでエラー報告機能を有効化できます。 デバッグ機能が OFF の場合は、次のように自分でエラーを管理することもできます:

$this->db->trans_start();
$this->db->query('SQL クエリ...');
$this->db->query('もう1つのクエリ...');
$this->db->trans_complete();

if ($this->db->trans_status() === FALSE)
{
// エラーを生成... または log_message() メソッドを使ってエラーをログに記録します
}

トランザクションの有効化

$this->db->trans_start() を使った瞬間にトランザクションが自動的に有効になります。 トランザクションを無効にしたい場合は $this->db->trans_off() を実行することで無効化できます:

$this->db->trans_off()

$this->db->trans_start();
$this->db->query('SQL クエリ...');
$this->db->trans_complete();

トランザクション機能が無効になっている場合、トランザクションなしにクエリが実行されたときのように、クエリは自動的にコミットされます。

テストモード

オプションで、クエリが正しい結果になった場合でもロールバックされる "テストモード" のトランザクションを実行することができます。 テストモードを使うには、$this->db->trans_start() メソッドの第1引数に TRUE を設定するだけです:

$this->db->trans_start(TRUE); // クエリはロールバックされます
$this->db->query('SQL クエリ...');
$this->db->trans_complete();

トランザクションを手動で実行する

手動でトランザクションを実行したい場合は、次のようにすれば、手動で実行することができます:

$this->db->trans_begin();

$this->db->query('SQL クエリ...');
$this->db->query('もう1つのクエリ...');
$this->db->query('さらにもう1つのクエリ...');

if ($this->db->trans_status() === FALSE)
{
$this->db->trans_rollback();
}
else
{
$this->db->trans_commit();
}

Note: 手動でトランザクションを実行するときは、$this->db->trans_start() ではなく $this->db->trans_begin() を必ず使用してください。